「仕事は辞めたいけど、でも…」
毎日の業務に追われ、残業をして、ボロボロになって家に着くまでに退職・転職を考えては踏みとどまる。そんな経験はありませんか?
特に介護・福祉に携わる方は「責任感の強い人」が多く、自分が仕事を辞めることで多くの人に迷惑が掛かってしまうことを恐れがちです。
僕自身も、想い紡ぐ介護士になるまでや介護の思い出でもお話ししたように、時々の状況や激務によって退職を余儀なくされた経験が何度もあり、その度に「自分の都合で辞めてしまって申し訳ない」という感情に悩まされてきました。
今回は「責任感が強くて仕事を辞められない人」に向けて、自身の経験から「こう考えた方がいいよ」という話をしていきます。
またあなたの周りに責任感が強くて仕事が辞められないけど、どう見ても仕事を辞めた方がいいという方がいらっしゃったなら、今回の記事の内容を伝えてもらえると嬉しいです。
「責任感の強い人」が生まれる背景
特徴を理解するにあたって、まずは「責任感」の定義を見てみましょう。
責任感とは、自分の仕事や行為についての責任を果たそうとする気持ち。「責任感の強い人」
責任感 -weblio辞書-
一口に「責任感が強い」と言ってもその「強さ」に差が出るのは「責任を果たそうとする気持ち」、つまり判断基準が決められていないものなので、自己評価と他者評価にズレが生じるわけですね。
他人から見たときに「あの人は責任感が強いよね」と言われても本人からすれば当たり前のことだった、とか。
「私は責任感が強い方です」と自己アピールしても、周りからすればまだまだ足りていない、とか。
こういったズレが起きてしまうため、「本当に責任感が強いのか」は誰にもわからないのです。
それでも周りから見たときに「明らかにやり過ぎている人」がいます。
思わず「そこまでのものは求められていないよ」と言いたくなるのですが、当人は至って真面目にそれをやり遂げてしまうし、やり遂げることで評価をもらっているため周りもなかなか止められません。
その人が頑張ることで自分も救われていますし、その人を止めると自分の仕事量が増えることも予測がつきますから「そっとしておこう」と思うのも致し方ない部分があります。
こうして周りから遠巻きにされると、いよいよその人は「自分が頑張らないと」と『責任感の強い人』になっていきます。
当人の性格・性質もありますが、「責任感の強い人」は環境が生み出している部分もあることを覚えておいてください。
自分の仕事や行為についての責任を果たそうとする「気持ち」が強い人が「責任感の強い人」であるため、「本当に責任感が強いか」は誰にもわからない。
ただし「明らかにやり過ぎている人」が遠巻きにされることで「責任感の強い人」にされることはあり得る。
責任感の強い人の特徴
次に責任感の強い人の特徴を見ていきます。
そのおおまかな特徴は以下の通りです。
・時間や約束を守る
・常に全力で取り組み、諦めない
・口が堅く、「できない」と言わない/言えない
・自分にも他人にも厳しい
・誠実であり、周りからの評価は高いが孤立しやすい
こうして見ると「責任感の強い人」というのは「すごいけどあんまり関わりたくない人」に思えますね。
任された仕事をバリバリこなし、「それが当たり前だ」と考えている。
決められたルールを厳守し、それを守らない人を許さない。
手一杯仕事を抱えていても「できない」とは言わず、「手伝ってほしい」とも言えず、一人黙々とこなしていく。
そしてこういう生き方をする自分に誇りを持ち、周りもこうあるべきだと態度で示す。
ここに憧れるか、息苦しさを感じるかによって「責任感の強さ」が見えてきます。
どこまで「やり遂げる」のか
さて、このような背景で生まれた「責任感の強い人」はどこまで「やり遂げる」のでしょうか?
今の仕事が終われば一息つくだろう、と思いますか?
それとも今日一日頑張ったから明日はゆっくりするだろう、と思いますか?
さすがに任されているプロジェクトが達成すれば休むだろう、と、そう思いますか?
責任感の強さにもよりますが、責任感が強いほど「やり遂げる」というのは文字通りの意味で「やり遂げる」までやり続けます。
やりとげるとは、最後までやりとおす。やりぬく。
やりとげる -weblio辞書-
この「最後まで」という期限が問題で、責任感の強い人が実行する「最後」とは「最期(人生の終わり)」を意味することが多いのです。
すなわち、命を完遂させるまでやり続ける。
そうすることが自分の使命だと疑わない。
周りから「いやいや、それはやり過ぎでしょ」と茶化されるほど「やり遂げる」ことに価値を見出し、自分の命を削りながら理想の形を追い求めていくのが「責任感の強い人」に見られる傾向です。
「本当にそんな人いるの?」と思われるかもしれませんが、います。
他ならぬ僕自身がそうだったのです。
それは資格を取るって本当に大切? ⑥ ⑦を読んでもらえれば、一つのものに対してどれだけの責任感と覚悟で挑んでいたか、その片鱗が垣間見れるかと思います。
ここで大切なのはやり遂げる人は命を懸けても本当にやり遂げてしまうため、周りから見て「危ないな」と思ったらそれとなくブレーキをかけてあげることで一線を越えさせずに助けられるということ。
責任感の強い人は「まさかここまではしないだろう」という予測を、常識を、楽観視を軽々超えてきます。それらを超えることが自分の存在証明になると信じているのです。
「そうすることが正しいのだ」と信じて疑わずに全力で取り組み、自分の心身を傷つけていく。
周りが止めるのを振り切り、命を懸けて完遂することで自分の正しさを証明したがる。
「ここまでされたら認めざるを得ないだろう」と、誰も認めない成果にこだわって。
「やり遂げさせない」ための12のプロセス
もしあなたがそんな「責任感の強い人」をどうにか止めたいと思うなら下の方法を試してみてください。
また自分が「責任感の強い人」に当てはまる方は、自分に対して⑤~⑫の方法を、自分に言い聞かせるようにして試してみましょう。
< 見守り期間 >
①本人が抱えている仕事を分けてもらうよう持ち掛ける
②断られた場合、「困ったら相談して」といつでも相談に乗る姿勢を見せる
③本人が不調を訴えるまでは見守る
< 相談期間 >
④早退や欠勤などが見られた場合、それが初めてなら相手からの連絡を待ち、何度も続くようならこちらから連絡をして相談に乗る
⑤めまいや睡眠不足、焦り、不安などの具体的な症状が見られるなら通院を進める。(特に精神的な症状が多いなら心療内科を勧める)このとき「今は自分の調子を整えることが大切だよ」と、「休むことが責任を果たすこと」だと促す
⑥医師の診察によって仕事の影響で心身に不調が出ていると診断された場合、ドクターストップをもらい休養期間を取ってもらう
< 休養期間 >
⑦休養中は本人の好きなように過ごしてもらう
⑧心身を回復させる間に、本人が休養している間も仕事が回る事実に気づくことになる
⑨症状が安定していれば職場復帰も視野に入れ、症状が安定していなければ休養期間を増やすため医師に取り計らってもらうよう助言したり、退職を勧めたりする
< 受容期間 >
⑩再度仕事に就く前にあらためて仕事との向き合い方、周りとの関係について見直してもらう
⑪そのとき自分が「やらなければいけない」と思う理由が「誰のためなのか」を紙に書き出し、自分で見つけ出してもらう
⑫その理由が
A.「人のため」なら「あなたが責任を手放すことがその人のためになる」
B.「自分のため」なら「やらなければならないことよりもやりたいことをするのが自分のためになる」
と伝えて、「最初に自分を満たし自立することが真の責任感だ」と理解してもらう
見守りから受容までのプロセスで一環しているのは「責任感の強い人を自分の責任感によって治させる方へ導いていく」ことです。
本人が自分と向き合い「自分のために人生を生きるのが責任を持つということだ」と理解するまで決して無理強いをしてはいけません。無理強いされてしまうと「仕事をする責任」のほうに意識が傾いてしまい、「やはりこのままではいけない」と「やり遂げる」ほうへ戻ろうとしてしまうのです。
あくまであなたはサポート役として相談や助言をし、本人が自分で選択した結果にしなければ自立には向かいません。
だからこそ最初は「見守り」、時に「相談」に乗り、「休養」を勧めて、本人自身を「受容」してもらうよう取り計らう必要があるのです。
なぜ「自分自身を受け入れること」が大切なのか
自分を受容することがなぜ大切なのかと言うと、自身の体調を崩すような「責任感の強い人」が抱える責任感の正体が「自分自身への愛の欠如」によるものだからです。
「人のために」やらなければ「自分」が認めてもらえない。
「誰よりも」やらなければ「自分」が認めてもらえない。
「最後まで」やらなければ「自分」が認めてもらえない…。
このような思考回路に自分自身を落とし込んでしまっているため、表面的には「責任感が強い」ように見えますが、つまるところ「自分を認めて、愛してほしい」のです。
ただ当人は「自分を愛してほしい」とハッキリ意識してそうしているわけではなく「なんとなく心が寂しい」くらいに感じていて、その寂しさを埋めるべく「責任感」という大義名分をかざして無理に動いてしまうわけです。
もし真に責任感が強い人であれば、その人は心身ともに自立しているためこう考えます。
「自分とみんなのために」やりたい。
「一人ひとりが自由に動けるなかで」やりたい。
「終わったらみんなで」祝いたい、と。
前者と後者のちがいは最初に「自分がやりたい」があって、そのうえで「自分は自分、人は人」と分け、「自分のやりたいこと」を極めることが皆のためになるよう初めに設定するところにあります。
やりたいことをやっているうちに求められる責任が自動的に果たせるのですから、あとは夢中になってやり続けるだけでその人は自分の責任を果たせるのです。
「~しなければならない」という義務よりも「~したい」という意思のほうが強い原動力となるのですから、「~しなければならない」という時点で「責任を果たせないかもしれない可能性」を高めてしまうため「責任感が強い」とは言えないわけですね。
よって「自分を受け入れる」という自己受容が真に「責任感が強い」ことの証明になる以上、「責任感が強い」というプライドがあるなら、先ほどの12のプロセスを踏むことで自動的に自分を受け入れるようになっていくのです。
もし「自分はそこまで責任感が強くないな」と感じてもらえたなら、それこそ有休を消化したり退職したりして、ゆっくり休んで回復してもらえばいいのです。
責任感が強くないと感じている以上、ある程度自分のことを大切にできているわけですから、後は「なぜそこまで責任感にこだわっていたのか」を突き詰めてもらうと「自分を認めて、愛してほしい」というところに収束していきます。
真に「責任感の強い人」となる
責任感とは自分の仕事や行為についての責任を果たそうとする気持ちであり、その気持ちが強い人を「責任感の強い人」と言います。
ただ責任を果たそうとする気持ちが「やらなければならない」義務からなのか、それとも「やりたい」意思からきているのかによって、同じ責任感を持っていても長続きするかどうか、一緒にやっていきたいと思われるかどうかが異なります。
もし「やらなければならない」と思って責任を果たそうとしているのならその原動力は「自分に課した義務」から来ており、人のために頑張っているようでも最終的には「自分が認めれたい、愛されたい」という自分のためだけに頑張っているのです。
自分のためだけなので周りからは避けられるようになり、認められることも愛されることもありません。しかし「義務」を課す人は「それならもっと仕事をやらなければ」と考えて悪循環にハマり、心身ともにボロボロになってしまうのです。
一方「やりたい」という気持ちで責任を果たす人は「自分の意思」を原動力にしているため、まずは自分の「やりたい」を満たすために頑張ります。
そのうえで開始時点で「自分のやりたいこと」をやり続けることで責任を果たすように仕事を設計しますから、長続きもしますし「一緒にやりたい」と人が集まってくるようになります。
真に「責任感が強い」というのは依存によって生まれる義務から責任を果たそうとするのではなく、自立した意思のもと、夢中になれば自ずと責任を果たしているように最初から仕事を創っている状態なのです。
「責任感の強い人」へのメッセージ
義務感から責任を果たそうとするのをやめられない方に向けてお伝えしたいことがあります。
僕は以前、自分に課した責任を完遂しようとして失敗しました。
「生まれたからには何かを成し遂げないといけない」と考え、成果を出すことばかりを求めて形あるものを追い求めていきました。
資格、昇給、昇進、ランキング、行事の成功など。
「本当にそれが欲しいのか」をよく考えず、ただ「人が認めているもの」で自分を固めていけば自分が認められるのだと強く強く思い込んでいたのです。
そうして得られたものは「形ばかりの評価」と「癒え切ることのない『心身症』による心臓の痛み」でした。
介護現場で「サービス提供責任者」などともてはやされたところで、当時それに足る人間力がまるでなかった僕は職員さんやパートさんと衝突して孤立しました。
人の気持ちに寄り添うよう介護してきたはずの自分が、職員さんやパートさんの気持ちにはまるで寄り添えていない。その矛盾を抱えたまま、どうにかつじつまを合わせようと無理に無理を重ねて…ついに心臓を痛めて倒れました。
そこから1ヶ月間休養してそのまま退職することになりましたが、さて、僕は一体何の「責任」を果たせていたのでしょうか。
仕事を1ヶ月休んで職場に迷惑を掛けたばかりか復帰もしなかった僕が。
サービス提供責任者として現場と事務をこなすあまり、人を頼らず人を育てられなかった僕が。
立場や成果ばかりを追い求めて「自分」をないがしろにしてしまった僕が。
誰のため、何のために「責任」を果たせたと言えるのでしょうか。
当時を振り返れば、責任者としての立場も、介護福祉士の資格を持つ者としても、まして自分の「生命」の責任すら果たせていなかったのです。
義務感から責任を果たそうとする先にあるのは、こういう未来です。
誰一人、何一つに対しても責任を果たすことができず、誰にも認められることなく最後には自分の人生を失うのです。
幸い僕は介護した方々からいただいた笑顔によって救われました。一人ひとり意味の違う、しかし心満たされる笑顔を見せてもらえたことが心臓の痛みを生み出す心身症を乗り越えるための最後の一押しとなったのです。
その事実に気づいたときから介護が「やらなければいけないこと」ではなく「やりたいこと」として自分の中で定まり、『想い紡ぐ』ことが自分の人生の軸となりました。
ここまでボロボロになって、ようやく「やらなければならない」義務感から解放されたのです。
義務や責任感は、それらを担うだけで「自分には価値がある」と思わせてくれるでしょう。
心を満たし、明日を乗り切る原動力になるのだと思わせてくれるでしょう。
それらは毒と同じで、徐々にあなたの心と体をむしばんでいきます。
初めはあなたの責任感を評価し、あなたを認めてくれるかもしれません。
しかし周りはあなたの責任感の裏にある「認めてほしい」「愛してほしい」という不自然な感情に気づいていきます。
不自然な感情を目の当たりにしたとき、人は言葉にできない不安を感じるものです。
「ああ、この人と関わってはダメだな」と察し、あなたに気づかれないようにあなたから離れていくのです。
「やらなければならない」義務の先に、あなたの望むものはありません。
「やりたい」という意思の先にこそ、あなたの望むものがあるのです。
そのために今は自分と向き合い、自分を受け入れることが大事です。
誰よりも、何よりも先に「自分」を認めて、愛してあげてください。
そのためだったら、いくらでも休んでいいんです。
「やらなければ」を「やりたい」にするために
最後に、義務から「責任感の強い人」にお勧めしたいものを紹介していきます。
1.自分を浄化すると幸せになれる 人生のステージを高めればすべてうまくいく
自分のために生きるには、他者と適切な距離感を保ち「自分自身の人生を生きる」と自分に約束することが大切です。
人間関係の悩みや苦しみは他者や環境への「依存」度合いで決まり、他者に期待や執着といった依存をせず様々なしがらみを浄化して主体的にいきることができるようになるほど自由になるのです。
著書ではこの依存度合いを「心の成長ステージ」と称し、
お互いに依存し合う、人とのかかわりが苦しい「共依存」にあるステージ1,2
お互いに精神的に自立した「相互依存」にあるステージ3,4
に大きく分けて、自分が今どのステージでどのような課題を抱えているかをタイプ別に解説し、具体的な行動指針をステップごとに示しています。
責任感の強い人はステージ2、「自分の力で何とかせねばならない」「自分の考え方や行動が常に正しいと感じる」に該当すると考えられますので、義務によって責任を果たそうと考えている方はぜひ一度読んでみてください。
あなたの生きづらさを解決するヒントが詰まっています。
2.【退職代行サービス】男の退職代行/わたしNEXT 女性の退職代行
もし心身をいやすために長期休暇を取って「自分のやりたいことは今の職場にはない」と感じた場合、退職代行サービスを使うことをお勧めします。
なぜかというと、いくら正当な理由があろうとも退職手続きをするために迷惑を掛けた会社に出向いて上司と面会するのは想像以上に疲れるものだからです。
会社側にしても抜けた穴を埋めるべく仕事を再分配して苦労している最中で退職手続きのために来る人に時間を割かなければならず、そのことに一切の感情なく対応するのは難しいものです。
お互いに顔を見てしまえば思うところあって、言わないでもよかったような愚痴、思わなくても済んだ暗い感情を抱えてしまう可能性もあるのです。
僕が以前の職場を退職したときにはまだ退職代行が一般的ではなかったため、仕事のストレスが原因の心身症、その心臓の痛みが癒えないまま本部へ赴きました。
そこで面会した役員の方たちは笑顔を取り繕ってはいましたが、内心「お前が抜けたせいで俺たちは大変なんだぞ」という暗い感情を抱えているのは存分に察せられましたし、そのうちの一人からは「さんざん迷惑を掛けたんだからせめて挨拶回りをしてこい」と病人に鞭打つような言葉を投げかけられました。
結果、心臓の痛みが強くなるのを感じながらも何とか耐え抜いて挨拶回りを終えられたのですが、あのとき退職代行を知っていれば間違いなく使っていました。
「男の退職代行」は男性専用、「わたしNEXT 女性の退職代行」は女性専用と、それぞれの状況に応じたサービスを提供してくれます。
どちらも「即日退職可能」「退職達成率100%」「全額返金保証」「完全無料転職サポート」「安心の操業16年」と、信頼と実績のあるサービスなので安心して利用できます。
これから新しいスタートを切ろうというのに、過去のしがらみにとらわれて最初の一歩を踏み出せないのは誰のためにも、何よりあなたのためになりません。
どうか、心置きなく新生活を楽しんでください。
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「想い紡ぐ介護士、ナカさんのブログ」では皆さんのコメントをお待ちしています。
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